整形外科 プログラムの特色
湘南藤沢徳洲会病院・整形外科専門研修プログラムは「基礎医学と臨床医学の融合」を目標とし、大阪大学と連携しながら湘南藤沢徳洲会病院の利点を生かした研修システムを行っています。
Ⅱ型プログラムですが、臨床研修に加えて研究マインドに配慮した研修を行います。
特に基礎医学の分野においては脊髄、椎間板、軟骨、骨格筋の研究を盛んに行っています。
また関連施設の規模がわが国でトップクラスの大阪大学整形外科では,研修プログラムの中で慢性期疾患から外傷を含む急性期疾患まで幅広く研修することが可能です。
整形外科学は、運動器の機能と形態の維持・再建をめざす臨床医学であり、脊椎、上肢、下肢などの広範な診療領域を扱います。
超高齢化型社会をむかえた我国においては、整形外科への期待はますます大きくなっています。現在、連携施設である大阪大学医学部附属病院・整形外科には、脊椎、肩関節、手・肘関節、股関節、膝関節、腫瘍、小児整形外科などの診療・研究グループがあります。また、連携施設は、スポーツ医学、手外科、脊椎外科、関節外科、救急医療、地域医療、リハビリテーションなどそれぞれに特色をもった大学、施設、病院があり、機能的なローテーションにより、プライマリケアから最先端の臨床・研究までを学ぶことができます。
湘南藤沢徳洲会病院は、専攻医の皆様に素晴らしい研究・臨床環境を提供し個々の能力を最大限に引き出す研修を目指しています。
修了後の展望
プログラムを修了した専攻医は、あらゆる運動器に関する科学的知識と高い社会的倫理観を備え、さらに、進歩する医学の新しい知識と技能を修得できるような幅広い基本的な臨床能力(知識・技能・態度)が身についた整形外科専門医となることができます。また、同時に専攻医は研修期間中に以下のコアコンピテンシーも習得できます。
- 患者への接し方に配慮し、患者や医療関係者とのコミュニケーション能力を磨くこと。
- 自立して、誠実に、自律的に医師としての責務を果たし、周囲から信頼されること(プロフェッショナリズム)。
- 診療記録の適確な記載ができること。
- 医の倫理、医療安全等に配慮し、患者中心の医療を実践できること。
- 臨床から学ぶことを通して基礎医学・臨床医学の知識や技術を修得すること。
- チーム医療の一員として行動すること。
- 後輩医師に教育・指導を行うこと。
研修方法
基本方針
整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料3「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って、湘南藤沢徳洲会病院(基幹施設)および連携施設群において研修を行います。
専門知識習得の年次毎の到達目標と専門技能修得の年次毎の到達目標は、整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料1「専門知識習得の年次毎の到達目標」、資料2「専門技能習得の年次毎の到達目標」を参照して下さい。
研修実績の記録と評価には、日本整形外科学会整形外科専門医管理システムを用います。専攻医は、各研修領域終了時および研修施設移動時に日本整形外科学会が作成したカリキュラム成績表の自己評価欄に行動目標毎の自己評価を行います。また指導医評価表で指導体制、研修環境に対する評価を行います。指導医は、専攻医が行動目標の自己評価を終えた後にカリキュラム成績表の指導医評価欄に専攻医の行動目標の達成度を評価します。
また、指導医は抄読会や勉強会、カンファランスの際に専攻医に対して教育的かつ建設的なフィードバックを行います。
研修実績と評価をもとに、専門研修最終年度の3月に研修プログラム管理委員会において、専門研修修了判定を行います。判定基準は【修了要件】に定めるとおりです。
このプログラムおよび専門研修プログラム管理委員会はサイトビジットを含む第3者の評価・指導を受けます。またその際に研修プログラム統括責任者、研修連携施設指導管理責任者、指導医ならびに専攻医は真摯に対応いたします。
研修計画
整形外科の研修で経験すべき疾患・病態は、骨、軟骨、筋、靱帯、神経などの運動器官を形成するすべての組織の疾病・外傷・加齢変性です。
この多様な疾患に対する専門技能を研修するために、整形外科専門研修は1ヶ月の研修を1単位とする単位制をとり、全カリキュラムを脊椎、上肢・手、下肢、外傷、腫瘍、リウマチ、スポーツ、リハビリ、地域医療、全カリキュラムを10の研修領域に分割し、専攻医が基幹病院および連携病院をローテーションすることで、それぞれの領域で定められた修得単位数以上を修得し、3年9か月間で45単位を修得する修練プロセスで研修します。
専門知識の習得計画
本研修プログラムでは、専門知識を整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料3「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って研修し、知識能習得状況を6ヵ月毎に評価します(自己評価および指導医評価)。専門研修プログラム管理委員会による専攻医面接を年1回行い、評価したデータをまとめた評価表(図1)を参照し、知識習得に関する目標設定・取得単位調整・指導を行います。
専門技能の習得計画
本研修プログラムでは、専門技能を整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料3「整形外科専門研修カリキュラム」に沿って研修し技能習得状況を6ヵ月毎に評価します(自己評価および指導医評価)。専門研修プログラム管理委員会による専攻医面接を年1回行い、技能習得に関する目標設定・取得単位調整・指導を行います。
専攻医の過半数が獲得できていない技能があれば、これを獲得するためのセミナーを開催します。
経験目標(経験すべき 疾患・病態、診察・検査等、手術処置等)
経験すべき疾患・病態、診察・検査等、手術処置等は、整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料3「整形外科専門研修カリキュラム」に明示された症例数以上を湘南藤沢徳洲会病院、大阪大学医学部附属病院及び徳洲会グループ連携施設で偏りがないように経験することができます。
プログラム全体と各施設によるカンファレンス
各研修施設の研修委員会の計画の下、症例検討・抄読会はすべての施設で行います。専攻医の知識・技能習得のためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が企画・開催します。
リサーチマインドの養成計画
すべての専攻医が自らの症例を用いて研究した成果を発表するカンファレンス「レジデントデイ」を年1回開催します。研究指導は各施設の指導医が行います。
学術活動に関する具体的目標とその指導体制(専攻医1人あたりの学会発表、論文等)
専攻医が学会発表年1回以上、また論文執筆を年1本以上行えるように指導します。専門研修プログラム管理委員会は全専攻医の学会発表数および論文投稿数を年1回集計し、面接時に指導・助言します。
コアコンピテンシーの研修計画(医療倫理、医療安全、院内感染対策等)
整形外科専門医としての臨床能力(コンピテンシー)には、専門的知識・技能だけでなく、医師としての基本的診療能力(コアコンピテンシー)が重要であることから、どの領域から研修を開始しても基本的診療能力(コアコンピテンシー)を身につけさせることを重視しながら指導し、さらに専攻医評価表を用いてフィードバックをすることによって基本的診療能力(コアコンピテンシー)を早期に獲得させます。
湘南藤沢徳洲会病院および各研修施設の医療倫理・医療安全講習会に参加し、その参加状況を年1回専門研修プログラム管理委員会に報告します。
サブスペシャルティ領域との連続性について
整形外科専門医のサブスペシャルティ領域として、日本脊椎脊髄病学会指導医、日本リウマチ医学会専門医、日本手外科学会専門医があります。本プログラムの連携施設にはこれらサブスペシャルティ領域の研修施設が複数施設ずつ含まれています。整形外科専門研修期間からこれらのサブスペシャルティ領域の研修を行うことができ、専攻医のサブスペシャルティ領域の専門研修や学術活動を支援します。
研修およびプログラムの評価計画
専攻医の評価時期と方法
専攻医および指導医は研修記録による研修実績評価を6ヵ月に1回行い(9月末および3月末)専門研修プログラム管理委員会に提出します。
他職種も含めた湘南藤沢徳洲会病院および各研修施設での研修評価(態度も含めた総評)を各施設での研修終了時に行います。
専攻医は研修プログラムの取得単位、学会発表・論文執筆数、教育研修講演受講状況を年度末に専門研修プログラム管理委員会に提出し、専門研修プログラム管理委員会で評価します。
上記の総評を専門研修プログラム管理委員会で年1回年度末に評価します。
専門研修プログラム管理委員会の運営計画
専門研修プログラム管理委員会は専門研修プログラム統括責任者を委員長とし、各連携施設の専門研修指導責任者を委員とします。3月に専攻医4年次の修了判定委員会を行います。必要時に臨時委員会を開催します。
プログラムとしてのFD(Faculty Development)の計画
指導医は整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料12「整形外科指導医マニュアル」に従って専攻医を指導します。(専攻医マニュアルおよび指導医マニュアルについては日本整形外科学会ホームページ参照)
指導医の指導技能向上のためのセミナーを専門研修プログラム管理委員会が企画・開催します。厚生労働省および日本整形外科学会主催の指導医講習会へ参加し、その参加状況を年1回専門研修プログラム管理委員会に報告します。
専門研修プログラムの改善方法
専門研修プログラム管理委員会で年1回検討し、必要に応じてプログラム改定を行います。
専攻医の就業環境の整備機能(労務管理)
専門研修プログラム管理委員会は、専攻医に対するアンケートと面接で各施設の就業環境を調査します。就業環境に改善が必要であると判断した場合には、当該施設の施設長、専門研修指導責任者に文書で通達・指導します。
休止、中断、プログラムの移動、プログラム外研修の条件について
傷病、妊娠、出産、育児、その他やむを得ない理由がある場合の休止期間は合計6ヶ月間以内とします。限度を超えたときは、原則として少なくとも不足期間分を追加履修することとなります。疾病の場合は診断書の、妊娠・出産の場合はそれを証明するものの添付が必要です。留学、診療実績のない大学院の期間は研修期間に組み入れることはできません。また研修の休止期間が6ヶ月を超えた場合には、専門医取得のための専門医試験受験が1年間遅れる場合もあります。専門研修プログラムの移動に際しては、移動前・後のプログラム統括責任者及び整形外科領域の研修委員会の同意が必要です。
修了要件
- 各修得すべき領域分野に求められている必要単位を全て満たしていること。
- 行動目標のすべての必修項目について目標を達成していること。
- 臨床医として十分な適性が備わっていること。
- 研修期間中に日本整形外科学会が主催又は認定する教育研修会を受講し、所定の手続により30単位を修得していること。
- 1回以上の学会発表、また筆頭著者として1編以上の論文があること。
以上①~⑤の修了認定基準をもとに、専攻研修4年目の3月に専門研修プログラム管理委員会において修了判定を行います。
参照資料:整形外科専門研修プログラム整備基準及び付属資料(日本整形外科学会 HP)http://www.joa.or.jp/jp/edu/index.html
研修スケジュール・ローテ-ション
湘南藤沢徳洲会病院は神奈川県の中核病院として、最新の設備と豊富な症例を経験しながら、専門分野ごとの症例検討や抄読会などより専門的な知識・技能を指導します。
本プログラム連携施設(15施設)
- 大阪大学医学部附属病院
- 大阪医療センター
- 大阪急性期・総合医療センター
- 大阪労災病院
- 堺市立総合医療センター
- JCHO大阪病院
- 市立貝塚病院
- 日本生命病院
- 行岡病院
- りんくう総合医療センター
- 市立芦屋病院
- 八尾徳洲会総合病院
- 三重大学付属病院
- ※名瀬徳洲会病院
- ※榛原総合病院
整形外科診療の現場における研修方法の要点については、整形外科専門研修プログラム整備基準付属解説資料13 整形外科専攻医研修マニュアル」を参照して下さい。
【大阪大学 整形外科専門研修プログラム 専攻医ローテーション表と専攻医別修得単位表】
専攻医ローテーション表
専攻医各年時の修得単位
専門研修施設群一覧
研修領域に関する注意事項
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
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1年目 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 |
2年目 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 大阪大学 | 大阪大学 | 大阪大学 | 大阪大学 | 大阪大学 | 大阪大学 |
3年目 | 大阪医療センター | 大阪急性期・総合医療センター | 大阪労災病院 | JCHO大阪病院 | ||||||||
4年目 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | 藤沢整形 | / | / | / |
全45単位で45ヶ月の研修となります。
専門研修施設群専門研修指導医一覧
湘南藤沢徳洲会病院2024年実績
新患数 (2024) |
手術数(2024) | ||||||||
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脊椎 | 上肢・手 | 下肢 | 外傷 | リウマチ | スポーツ | 小児 | 腫瘍 | 計 | |
1565 | 356 | 53 | 132 | 242 | 0 | 0 | 0 | 0 | 783 |
専門研修プログラムを支える体制
専門研修プログラムの管理運営体制
基幹施設でもある湘南藤沢徳洲会病院においては、指導管理責任者(プログラム統括責任者を兼務)および指導医の協力により、また専門研修連携施設においては指導管理責任者および指導医の協力により専攻医の評価ができる体制を整備します。専門研修プログラムの管理には日本整形外科学会が作成した指導医評価表や専攻医評価表などを用いた双方向の評価システムにより、互いにフィードバックすることによって研修プログラムの改善を行います。
上記目的達成のために湘南藤沢徳洲会病院に専門研修プログラムと専攻医を統括的に管理する整形外科専門研修プログラム管理委員会を置きます。本研修プログラム群には、1名の整形外科専門研修プログラム統括責任者を置く。
基幹施設の役割
基幹施設である湘南藤沢徳洲会病院は専門研修プログラムを管理し、プログラムに参加する専攻医および連携施設を統括します。
湘南藤沢徳洲会病院は研修環境を整備し、専攻医が整形外科の幅広い研修領域が研修でき、研修修了時に修得すべき領域の単位をすべて修得できるような専門研修施設群を形成し、専門研修プログラム管理委員会を中心として、専攻医と連携施設を統括し、専門研修プログラム全体の管理を行います。
専門研修指導医
指導医は専門研修認定施設に勤務し、整形外科専門医の資格を1回以上更新し、なおかつ日本整形外科学会が開催する指導医講習会を5年に1回以上受講している整形外科専門医であり、本研修プログラムの指導医は上記の基準を満たした専門医です。
プログラム管理委員会の役割と権限
- 整形外科研修プログラム管理委員会は、研修プログラムの作成や研修プログラム相互間の調整、専攻医の管理及び専攻医の採用・中断・修了の際の評価等専門医研修の実施の統括管理を行います。
- 整形外科研修プログラム管理委員会は研修の評価及び認定において、必要に応じて指導医から各専攻医の研修進捗状況について情報提供を受けることにより、各専攻医の研修進捗状況を把握、評価し、修了基準に不足している部分についての研修が行えるよう、整形外科専門研修プログラム統括責任者や指導医に指導・助言する等、有効な研修が行われるよう配慮します。
- 研修プログラム管理委員会は、専攻医が研修を継続することが困難であると認める場合には、当該専攻医がそれまでに受けた専門医研修に係る当該専攻医の評価を行い、管理者に対し、当該専攻医の専門医研修を中断することを勧告することができます。
- 研修プログラム管理委員会は、専攻医の研修期間の終了に際し、専門医研修に関する当該専攻医の評価を行い、管理者に対し当該専攻医の評価を報告します。
- 整形外科専門研修プログラム管理委員会の責任者である専門研修プログラム統括責任者が、整形外科専門研修プログラム管理委員会における評価に基づいて、専攻医の最終的な研修終了判定を行います。
- 湘南藤沢徳洲会病院は連携施設とともに研修施設群を形成します。湘南藤沢徳洲会病院に置かれたプログラム統括責任者は、総括的評価を行い、修了判定を行います。また、プログラムの改善を行います。
プログラム統括責任者の役割と権限
プログラム統括責任者は、整形外科領域における十分な診療経験と教育指導能力を有し、以下の整形外科診療および整形外科研究に従事した期間,業績,研究実績を満たした整形外科医とされており、本研修プログラム統括責任者はこの基準を満たしています。
- 整形外科専門研修指導医の基準を満たす整形外科専門医
- 医学博士号またはピアレビューを受けた英語による筆頭原著論文3編以上を有する者。
プログラム統括責任者の役割・権限は以下の通りとします。
- 専門研修基幹施設である湘南藤沢徳洲会病院における研修プログラム管理委員会の責任者であり、プログラムの作成、運営、管理を担う。
- 専門研修プログラムの管理・遂行や専攻医の採用・修了判定につき最終責任を負う。
労働環境、労働安全、勤務条件
湘南藤沢徳洲会病院や各研修連携施設の病院規定によりますが、労働環境、労働安全、勤務条件等へ以下に示す配慮をします。
- 研修施設の責任者は専攻医のために適切な労働環境の整備に努めます。
- 研修施設の責任者は専攻医の心身の健康維持に配慮します。
- 過剰な時間外勤務を命じないようにします。
- 施設の給与体系を明示します。